地域貢献

国際文化学科の地域貢献

国際文化学科では、公立大学としての立場、国際化・多文化共生社会に対応できる人材を育てるという学科の立場から、地域への貢献を重要視しています。地方自治体や教育機関と協同し、男女共同参画、地域文化の活性化への取り組み、公開講座や高大連携授業による知の提供などを通じ、地域の発展に向けて活動しています。

公開講座事例

令和3年岐阜市女性センター主催 大学・短期大学との男女共同参画講座
『源氏物語』紫の上の和歌と「祈り」~自分らしい生き方とは~

令和3年10月16日(土)10:30~12:00
岐阜市ハートフルスクエアーG 中研修室

本講座では『源氏物語』中に詠まれている紫の上の和歌の表現方法を探り、生涯におけるさまざまな局面に表れた心の動きを読み解いた。紫の上の歌の詠みぶりを人生終盤に語られる「祈り」に通じるものととらえ、そこから現代人が「自分らしい生き方」を探るためのヒントを提案した。

物語中、紫の上は生涯に21首の和歌を詠んでいる。その特徴のひとつとして、先行研究では、他のほとんどの女君が和歌に詠んでいる「憂し(辛い)」という語を、紫の上は一度も用いない点が指摘される。実際の紫の上の人生は、光源氏の庇護のもとで生きるしかない女性の苦悩に満ちたものであったにもかかわらず、その歌では常に冷静に、淡々と自身の置かれた状況が綴られる。正妻になれず社会的に妻としての保証が与えられない苦悩を「辛い」と言う代わりに、自身の立場を自然に託して表現し、そこから気づきを得ていく紫の上の和歌には、常に自らを客観的に見つめる視点が存在する。こうした紫の上の和歌を、また先行研究でその意味が探求されている「祈り」へとつながる作業ととらえた。「若菜下」巻で、女三の宮が光源氏の正妻となった後の紫の上は、
心にたへぬもの嘆かしさのみうち添ふや、さはみづからの祈りなりける
(私自身の心にとても耐えきれない、何か嘆かわしいことばかりが離れずにいるのは、
それが自分自身の祈りになっているのでした)

(小学館『新編日本古典文学全集』より)

と述べる。神仏に幸を請い願う「祈り」は苦しみや悩みと切り離せないものであり、苦悩こそが人生の支えであるという気づきは、和歌の中で自らを客観視し続けた営みから生まれたものといえる。紫の上の歌の軌跡は「祈り」を他者への共感や愛に発展させた「自分らしい」人生の軌跡でもある。以上の観点から、乱世を生きる現代の私たちが「自分らしい生き方」を模索する上でも、自らを客観的にみつめ、気づきを高める姿勢の重要性を示した。

 

高大連携事業

中国文化論

令和3年 4月12日(月)~ 7月26日(月)14:40~16:10(計7回)

 

 

この講義は中国の少数民族、食文化、茶文化、大衆文化などの側面から中国を観察し、中国式の考え方、中国の文化に触れてもらうことを目的としている。中国には漢民族以外に55の少数民族があり、それぞれの民族は独自の文化や習慣を持っている。

この科目は、岐阜市立岐阜商業高校との連携授業で、同校から19名の生徒が教員1名の引率で本学へ来学し、国際文化学科1年生と共に受講した。最終回の授業アンケートによると、大学生からは「高校生と一緒に授業をうけるのがとてもいい経験」、「高校生の積極的な姿勢や、高校生ならではの視点や発想が聞けて面白かったし、より理解が深まった」、「高校生は明るくより楽しい授業になった」という意見が圧倒的であり、一方、高校生からは「大学の雰囲気や授業がよくわかった」、「高校では習わないことや詳しいことを学べる」などの意見が得られ、高大連携授業に対して双方から高い評価が得られた。しかし、前年度に続きコロナの影響で、例年より教室での交流が少なかったことがとても残念であった。今後、学生と高校生がもっと交流できるよう、工夫する必要がある。

 

中国語合同発表会

令和4年 1月13日(木)、1月24日(月)14:40~16:10

 

【1月13日】 「初級中国語Ⅱ」を履修している本学国際文化学科1年生Aクラスの学生32名と、岐阜市立岐阜商業高校経営管理科2年生の生徒19名が、中国語合同発表会を行った。発表内容は事前に大学生と高校生に知らせ、暗記してもらった。発表は一人2分以内で、高校生も大学生も発表を積極的に準備し、熱心に参加していた。
発表後のアンケート調査では、「勉強してきたことを共有することができてよかった」、「自分よりうまい人がたくさんいて、刺激になった、もっと勉強したいと思った」、「他の人の発表を聞き取ることができた」、「いつもより緊張感をもっての発表会になった」などが挙げられていた。

【1月24日】 「中級中国語会話Ⅱ」を履修している本学国際文化学科2年生の学生14名と、岐阜市立岐阜商業高校経営管理科3年生の生徒18名が、中国語合同発表会をオンラインで行った。発表にはパワーポイントを用い、一人でのプレゼンテーション形式やグループによる会話形式で行われた。
発表後のアンケート調査では、「パワーポイントによる説明があり、より発表の内容を理解することができた」、「内容が自由なので、さまざまな発表があって面白かった」などの意見が挙げられ、発表形式への評価が高かった。

 

高大連携に関して作成しましたYouTube動画『高大連携による探求活動』こちら