学長挨拶

 

岐阜市立女子短期大学は、女性人材の高等教育機関として70年を超える歴史を刻みながら、既に1万7千人を超える有為な人材を社会に送り出してきました。令和5年度から開設する新学科の定員は、国際コミュニケーション学科が90名、健康栄養学科が50名、デザイン環境学科が60名の合計200名となり、教員数は36名と、公立ならではのきめの細かい少人数教育を実現させています。

本学は、女子の中での教育や学校行事やサークル活動等を通じて、女子のリーダーシップやメンバーシップを体感していく環境を整えており、社会に出る前の事前演習の機会を大学全体として強力にサポートしています。ちなみに卒業生の概ねの進路志望は、就職希望が8割、進学(編入学)が2割で、就職希望者の就職内定率は、この5年間の平均値で97%と高いレベルを維持しており、本学出身の先輩たちが岐阜地域を中心に広く社会から多くの期待を受けていることがうかがえます。

2年間という短い期間ではありますが、どの学科に入学しても皆さんには、自信をもって社会に巣立つことのできる優れた教養と技術を身につけられる教育カリキュラムが用意されています。国際コミュニケーション学科では、現代社会・文化交流・英語・東アジア言語の4つの領域から、グローバルな視点を養い、地域社会に根ざした実践教育によって、多文化共生社会に対応する力や地域に貢献する力をのばします。国際化が進む社会や地域の現状に向き合い、自ら課題を見つけ取り組む力、多様な文化や価値観を理解し、他者と協働する力、英語で考え、表現することで課題を解決する力、中国語・韓国語の実践能力、多文化共生社会でのコミュニケーションに役立つ日本語の能力などを身につけます。健康栄養学科では、栄養・食生活の分野だけではなく、身体活動・運動、メンタルヘルスなど健康づくりに必要不可欠な分野も一緒に学び、幅広い世代の健康を支える栄養士となることができます。現在、厚生労働省が主体となって産官学が連携・協働し、活力ある「人生100年時代」の実現に取り組んでおり、その中でも栄養士の活躍が期待されています。食に関する多彩な地域活動を通して実践力を養い、健康寿命の延伸など社会課題に取り組める能力を身につけます。デザイン環境学科では,人間が生活している空間とそれに関連する事物のデザインを通してクリエイティブな力を身につけます。持続可能な社会の実現に向けて,様々な課題を解決するために,デザインの中でも,ファッション,建築・インテリア,ヴィジュアル・情報の分野に関する知識・技術を修得し,地域との連携による実践的な取り組みを通して,社会に貢献する能力を身につけます。

わが国では、健康の増進や医療の発達によって人生100年という長寿社会の時代が到来しつつあり、IOT、ビッグデータ、人工知能をはじめとする技術革新に支えられた人間中心の社会Society5.0の実現が標榜されています。また世界的には、持続可能な国際社会の実現を目指す開発目標SDGsを掲げた努力があらゆる分野で進められています。このような将来像の中で私たちに必要となる資質・能力とはどのようなものでしょうか?

知識や情報が最重要視された時代もありましたが、現代ではスマホなどのIT端末を使って容易に過去の歴史やあらゆる分野の最新のデータを得ることができます。数年前の知識・技術にはすでに陳腐化しているものもあります。伝統の力に敬意を払いつつ、革新の波を受け入れ、さらに新しい社会を創造する、そんな力を持った若い人材が求められる時代になったと感じます。

本学では、新しい時代をより健全な形で構築していくのに欠くことのできない女性人材を育成することを目指します。皆さんには、深い教養と専門能力に支えられた個性・アイデンティティーを育み、現代社会の中で生きる力を身につけて頂ければと思います。皆さん一人ひとりが個性を持ったたくましい女性人材として育ち、社会で活躍できるよう、私たち教職員は(昨今の新型コロナウィルス感染症にも適切に配慮しながら)全学一体となって皆さんを教育・支援します。

 

岐阜市立女子短期大学学長
畑中 重光